米イラン侵攻が長期化すると、中東諸国、特にUAEなどは輸入品の停滞で経済が回らなくなる可能性あります。
米国とイランの紛争(侵攻)が中東諸国、特にUAEに与える経済的影響は深刻で、主にホルムズ海峡の閉鎖による輸出入のタンカーがストップしている状況です。
以下にこのままの状況が続いた場合の懸念点を挙げます。
これらはエネルギー供給、貿易、食料・水資源、インフラ、観光業などの分野に幅広く及び、輸入品の停滞が経済全体の停滞を招く可能性が高いです。
1. 石油関連の輸出入
- ホルムズ海峡は世界の石油の約20%と液化天然ガス(LNG)の20%が通過する要衝ですが、紛争により事実上閉鎖され、UAEを含む湾岸諸国の石油輸出が停止しています。これにより、原油価格が80ドル以上、場合によっては100-200ドルに急騰するリスクがあり、UAEのエネルギー依存経済が打撃を受けます。UAEは代替ルート(例: Fujairahパイプライン)を持っていますが、容量が限定的で、輸出中断が長期化すれば生産停止や在庫飽和を招く可能性があります。
- 輸入側としても、UAEは石油製品の再輸入に依存しており、供給チェーンの乱れが国内のエネルギー価格を押し上げ、産業活動を停滞させる懸念があります。
石油の輸出だけでなく、石油製品加工品は輸入に頼っている状況なので、深刻な生活必需品の供給不足が出ると考えられます。
2. 輸入品の停滞と供給チェーンの崩壊
- UAEをはじめとする湾岸諸国は食料や原材料の輸入依存度が高く、米(77%)、トウモロコシ(89%)、大豆(95%)、植物油(91%)などが主に海路で入ってきます。
- ホルムズ海峡と紅海ルートの同時混乱(フーシ派の攻撃も影響)で、コンテナ輸送が中断し、数週間以内に食料不足や価格高騰が発生する恐れがあります。紛争が30日以上続けば、輸入停滞がグローバルなリセッションを引き起こすリスクが高まります。
- 肥料貿易の1/3が中断され、農業生産に影響。UAEは肥料輸入に頼るため、食料自給率の低さがさらに悪化し、インフレ率を0.6-0.7%押し上げる可能性があります。
3. 水資源の脆弱性
- UAEは飲料水の70-90%を脱塩プラントに依存しており、湾岸全体で1億人がこれに頼っています。イランのミサイルやドローン攻撃がこれらの施設を標的にすれば、水供給が途絶え、数日以内に深刻な危機が生じる可能性があります。すでにサウジアラビアやバーレーンのプラントが攻撃されており、UAEも同様のリスクを抱えています。
4. インフラと金融セクターの損害
- イランの報復でUAEの港湾(例: Jebel Ali港、90%の原材料輸入拠点)、空港、金融地区(ドバイ)が攻撃を受け、ドローン残骸による火災や損傷が発生しています。これにより、航空貨物やビジネス旅行が制限され、供給チェーンがさらに乱れます。ドバイやアブダビのハブ機能が失われれば、グローバルな貿易遅延が拡大します。
- 不動産投資や金融優遇税制による外国人投資家の流入がトレンドとなっていましたが、それも逆流が起こります。(ドバイ不動産指数は20%以上急落している。)
5. 観光業と経済成長の低下
- UAEの観光業は高級リゾートやイベントで知られますが、空港閉鎖や空爆の脅威で4万便以上のフライトがキャンセルされ、観光客が激減。地域の安全イメージが損なわれ、長期的な投資減少を招く可能性があります。GDPは紛争が2ヶ月続けば5%程度減少する見込みで、パンデミック以来の打撃となります。
全体的な懸念
- 湾岸諸国は紛争の巻き添えを不満に思っており、経済的コストが米国の決定によるものだと指摘されています。紛争が長期化すれば、UAEのGDPが1990年代以来の低迷を招き、食料・水不足が社会不安を増大させるリスクがあります。一方、グローバルな影響はエネルギー価格の上昇に留まる可能性が高いですが、中東諸国は輸入依存の弱点を露呈しています。
日本も中東の国々と重なる状況です。中東諸国の輸出は原油ですが、日本は自動車・産業機器を輸出しています。それに対して食料や原材料は輸入に完全に頼っています。
品目は違えど、一般庶民にとっては中東諸国とまったく同じ状況だと言えます。