ピーター・ティールは、リバタリアン(自由至上主義)の思想に基づき、国家の役割を最小限に抑える政策を主張しています。
哲学的でとらえどころのない物言いなので、一見なにを言っているか判りませんが、以下のような領域で政府の介入を縮小または廃止することを間接的に主張しています。
1. 政府規制の撤廃と市場の自由化
規制緩和
- ティールは、企業活動を阻害する政府規制(金融、医療、テクノロジー分野など)の撤廃を主張しています。例えば、FDA(米食品医薬品局)の承認プロセスの簡素化や、AI・バイオテクノロジー分野への規制緩和を求めており、これによりイノベーションが加速されると考えています。
独占の容認
- 著書『ゼロ・トゥ・ワン』で「競争は過大評価されている」と述べ、政府が市場競争を強制するのではなく、優れた企業が自然に独占を形成することを肯定しています。
2. 福祉制度の縮小とベーシックインカムへの転換
既存福祉の廃止
- ティールは、複雑な社会保障制度(医療保険、失業保険など)を廃止し、代わりにベーシックインカム(UBI)を導入することを支持しています。これは、政府の官僚機構を縮小し、個人の選択の自由を最大化するためです。
リバタリアン的UBI
- 彼の主張するUBIは「政府の福祉プログラムをすべて廃止し、現金給付に一本化する」というもので、市場メカニズムに委ねることで効率性を高める考えです。
3. 税制の簡素化と政府支出の削減
フラットタックス(一律課税)
- 複雑な累進課税を廃止し、一律税率を適用することを提唱。これにより、政府の税務行政コストを削減できるとしています。
政府支出の削減
- 国防費を除く公共サービスの民営化(教育、インフラなど)を推進し、「小さな政府」を実現することを目指しています。
4. 外交・軍事の民営化
民間軍事会社の活用
- 国家が戦争を独占するのではなく、民間企業(例:ブラックウォーターのようなPMC・パランティアの技術)に委託することで、効率性を高めるとともに政府の権限を縮小することを支持。
同盟の再定義
- 伝統的な同盟関係(NATOなど)を「コストがかかりすぎる」と批判し、米国が世界の警察役をやめるべきだと主張しています。
5. 通貨・金融政策の非国家化
暗号通貨の支持
- 政府による通貨発行権を批判し、ビットコインのような分散型通貨を支持。国家の金融政策への依存を減らすことを目指しています。
中央銀行の廃止論
- FRB(連邦準備制度)のような中央銀行システムを「政府の過剰な介入」と見なし、市場主導の金融システムを提唱。
まとめ
ティールの主張は、「政府は安全保障と司法以外の領域から撤退すべき」という極小国家(minarchism)に近いリバタリアン思想に基づいています。ただし、彼の現実的な立場として「完全な無政府主義(アナルコ・キャピタリズム)ではなく、戦略的に政府の権限を削減する」という点が味噌です。
移民政策の見解は?
ティールの移民政策への見解は、「経済合理性」と「文化的保守性」のバランスを取ろうとするものです。
「優秀な移民は受け入れるが、不法移民は厳しく取り締まる」という点でトランプ派と一致し、
「シリコンバレーのグローバル競争力」を維持するためには移民が必要という点でリベラルとも部分的に一致しています。
ただし、「移民がアメリカの伝統的価値観を損なわないこと」を条件とするなど、完全なリバタリアンではなく、「テクノロジー重視の現実主義者」としての側面が強いと言えます。
今後どんな世界を考えているのか?
トランプ支持者なので、トランプと同一思想かと思いきや、トランプとは逆の思想と思われる部分もあります。
グレートリセット後に、近代国家の総括として国家は信用ならないシステムだと今からお膳立てしているようです。
トランプの自爆ディールから始まるグレートリセットがあるとして、その後の米軍撤退からの国家間紛争・宗教紛争・戦争・国家財政の崩壊・天変地異などを・・・・・を予期しているのでしょうか。
近代社会・近代国家のシステムが崩壊した後の統括・総括としてのNWOのスキームを今から準備しているのかもしれません。