トランプ政権による関税政策がスタグフレーション(景気停滞とインフレの同時進行)を引き起こす可能性が指摘されています。その主な要因は以下の通りです。
1. 輸入品価格の上昇と消費者物価への転嫁
関税は輸入品のコストを押し上げ、最終的に消費者物価に転嫁されます。例えば、トランプ政権が導入した「相互関税」により、米国の平均実行関税率は2.42%から22.44%に急上昇し、消費者物価(PCEデフレーター)を短期的に2.3%押し上げると試算されています。
輸入品の値上げが国内生産者にも波及し、競争から保護された企業が値上げを行うことで、さらなるインフレ圧力が生じます。
2. 消費と投資の抑制による景気減速
関税は実質的な増税と同様の効果を持ち、家計の可処分所得を減少させ、消費を抑制します。
企業も関税コストを吸収するため、収益悪化から設備投資や雇用を削減し、経済成長を鈍化させます。
特に米エール大学の試算では、2025年の実質GDPを0.9%押し下げ、失業率を0.35%ポイント上昇させる可能性が指摘されています。
3. 供給ショックと生産コストの増大
関税はサプライチェーンを寸断し、企業の生産効率を低下させます。これにより、供給制約が生じ、物価上昇と生産縮小が同時に進行します。
1970年代のオイルショックと同様に、供給サイドの制約がスタグフレーションを引き起こす要因となります。
4. 金融政策のジレンマ(利上げと利下げ)
FRB(米連邦準備制度理事会)は、インフレ抑制のために利上げを検討する一方、景気後退を招くリスクを抱えています。
パウエルFRB議長は、関税によるインフレと成長鈍化の懸念を表明し、金融政策の対応が困難な状況にあると指摘しています。
5. 貿易戦争のエスカレーションと市場の不確実性。
トランプ関税に対する報復措置(例:中国の34%追加関税)が貿易戦争を激化させ、世界経済全体の成長を阻害する可能性があります。
市場の不確実性が高まることで、企業の投資意欲が低下し、景気のさらなる減速を招きます。
まとめ
トランプ関税は、物価上昇(インフレ)と景気減速(スタグネーション)を同時に引き起こすリスクが高い政策です。特に、輸入コストの上昇、消費・投資の抑制、供給ショック、金融政策の制約、貿易戦争の影響が相互に作用し、スタグフレーションを加速させる可能性が多いにあります。
また、トランプはMAGA(メイクアメリカグレートアゲイン)どころか、アメリカ没落・世界経済没落の経済的な最悪手を打ったと後世言われる可能性は高いでしょう。
日本はインフレに入りました。そしてこの段階でトランプ関税です。スタグフレーションになるであろうその入り口で、日本では消費税減税云々と言われています。
もし消費税減税が行われた場合、タイミング的にはかなり悪く、悪手になるのは間違いないでしょう。
【追記】
トランプ関税が15%となる事が決まりましたが、関税15%とすると、部品で15%高なので製品でプラス5%〜10%とすると、実質は20%〜30%の製品高となります。20%〜30%高で製品が売れるのかは別問題です。アメリカへの輸出は急減速・アメリカへの設備投資も引き上げる企業も多いでしょう。